住宅を購入する際によく聞く言葉に「団体信用生命保険」というものがあります。
しかし、初めて住宅を購入する人は団体信用生命保険が具体的にどのような保険なのか知らない場合も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、団体信用生命保険について、具体的な保障内容や加入する際の条件や注意点について解説します。
この記事を読めば、団体信用生命保険の仕組みや加入条件について詳しく知ることができます。
団体信用生命保険とは?
団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に債務者が亡くなったり、事故で重い障害を負うなどローンの返済が困難となった際に、ローンの残額が全額弁済される保険です。
住宅ローンを利用する際、基本的に加入が義務付けられていますが、フラット35のみ加入は任意となっています。
団体信用生命保険の保障内容
団体信用生命保険の保障内容は以下の5つとなっています。
- 死亡時・高度障害補償
- 全疾病保障
- 三大疾病保障
- 八大疾病保障
- がん保障
死亡時・高度障害保障は、住宅ローンの返済中に、債務者が死亡、または高度障害となりローンの返済が困難となった場合に、ローンの残額が全額弁済される保障です。
全疾病保障は、がんなど、全ての病気・ケガが対象となる保障で、病気やケガでローンの返済が困難となった場合に、ローンの残額が全額弁済されます。
三大疾病保障は、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の三種の病気が対象となる保障で、これら三種の疾病によりローンの返済が困難となった場合に、ローンの残額が全額弁済されます。
八大疾病保障は、上記の三大疾病に加え、「高血圧性疾患」「慢性腎不全」「慢性膵炎」「糖尿病」「肝硬変」の五種の病気が対象となる保障です。
これら八種の疾病によりローンの返済が困難となった場合に、ローンの残額が全額弁済されます。
がん保障は、がんを発症してローンの返済が困難となった場合に、ローンの残額が全額弁済される保障です。
住宅ローンを組む際に団体信用生命保険に加入する
住宅ローンを組む際、ほとんどの金融機関では団体信用生命保険の加入は必須となっています。
住宅ローンの利用条件にも、団体信用生命保険への加入が明記されている場合がほとんどです。
以上のことから、団体信用生命保険に故意に加入しない、または加入条件を満たしておらず加入できないという場合は、住宅ローンを利用できない可能性が高いといえるでしょう。
例外として、住宅金融支援機構が提供するフラット35のみ、団体信用生命保険への加入が義務付けられていないため、加入は任意となっています。
団体信用生命保険に加入したくない、加入できない人はフラット35を選択するとよいでしょう。
フラット35を選択して団体信用生命保険に加入しなかった場合、ローンの返済が困難となったら、住宅を引き継いだ人が代わりに返済していくことになります。
返済できない場合は最終的には住宅が差し押さえられてしまうため、団体信用生命保険に加入しないという選択をする場合は、家族とよく話し合ってから決断するべきです。
中古住宅の購入での団体信用生命保険の加入条件とは?
先述したように住宅ローンを組む際には基本的に団体信用生命保険の加入は必須となっています。
しかし、団体信用生命保険の加入には条件があり、誰しもが絶対に加入できるというわけではありません。
では、加入条件は具体的にどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
誰しもが加入できるわけではない
団体信用生命保険には審査があるため、審査を通過しなければ加入することはできません。
審査でチェックされるのは主に健康状態や病歴、職業などです。
審査の際には健康状態を告知する必要があります。
最近3か月以内に医師の治療・投薬を受けたことがあるか、心臓や脳、肺などの病気で手術や2週間以上の治療・投薬を受けたことがあるか、手や足、視力、聴力等に障害があるか、などが判断材料となります。
健康状態を告知する際、基本的には健康診断書を提出する必要はありませんが、借入金額が5,000万円以上など高額になる場合や、特約を付ける場合は健康診断書の提出を求められる可能性があります。
また、疾病保障特約付き団体信用生命保険を申し込む場合も、金融機関によっては健康診断書の提出を求められる場合があります。
数ある病気の中でも、精神病の一種であるうつ病は審査に通りづらいとされています。
再発率が高い、自殺の要因となりやすいことが主な理由です。
過去にうつ病の診断歴があったとしても、3年以上前かつ完治したと判断されていれば十分審査に通る可能性はありますが、3年以内にうつ病の診断歴がある場合は、審査に通るのは難しいでしょう。
職業に関しては、レーサーやスタントマンなど、死亡リスクの高い職業の場合に審査に通らない可能性が出てきます。
団体信用生命保険の加入条件
団体信用生命保険の加入条件は、先述した審査でチェックされる項目の他に、年齢条件や、生命保険会社の加入承諾などがあります。
具体的な加入条件は各金融機関ごとに異なり、住宅金融支援機構の新機構団信を例に挙げると「新機構団体信用生命保険制度申込書兼告知書の記入日現在、満15歳以上満70歳未満の方」「幹事生命保険会社の加入承諾がある方」の2つとなっています。
年齢条件に関しては、住宅の購入を考えている人であれば基本的に問題ないですが、生命保険会社の加入承諾に関しては、健康状態が重要となってきます。
住宅を購入するとなると、物件そのものや資金面に目が行きがちですが、住宅ローンのことも考慮すると、健康状態も非常に重要だといえるでしょう。
それなりに年齢を重ねてからの住宅購入となった場合、年齢次第でどうしても健康状態に何らかの問題が出てくる可能性があります。
見落としがちですが、審査をスムーズに通ることができるよう、健康にも気を遣うことが大切と言えます。
もし団体信用生命保険に健康状態が理由で入れなかった場合は「ワイド団信」も検討してみましょう。
ワイド団信は、健康状態での保険の受け入れ範囲が通常の団体信用生命保険よりも広くなっているので、加入条件が緩和されています。
保険料は割高となってしまいますが、通常の団体信用生命保険に通らなかった場合でも十分通る可能性があるのでおすすめです。
団体信用生命保険の疾病特約
団体信用生命保険には、通常の生命保険と同様にいくつかの特約が用意されています。
特約の種類は金融機関によってさまざまですが、その中でも特に一般的である「三大疾病特約」と「八大疾病特約」について見ていきましょう。
特約の種類はそれぞれの金融機関によって異なる
団体信用生命保険の特約は、それぞれの金融機関によって異なります。
先述した「三大疾病特約」「八大疾病特約」の他には「がん保障特約」「全疾病就業不能保障」「自然災害補償」などがあります。
特約を上乗せするとその分金利が上乗せになり、途中で特約を外すことも原則できないため、特約を付ける場合は、それが本当に必要なものなのか十分に考えてから決めるようにしましょう。
特約を付けるかどうか検討する際は、リスクマネジメント面やコスト面から判断するようにしましょう。
例えば、既に他の生命保険でがん保険や就業不能保険に入っているのであれば、がん保障特約や全疾病就業不能保障は内容がダブってしまうため優先度は低くなります。
金利が上乗せされてしまう以上、メリットの低い特約を付けることはコスト面でもあまりよくありません。
特約ごとの金利から逆算して上乗せされる金額と特約の内容を踏まえ、その特約を本当につけるべきかどうか判断するようにしましょう。
三大疾病特約とは?
三大疾病特約とは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中と診断された場合にローンの残額が全額弁済される特約です。
これらの病気は日本人の死因でも上位に位置しており、一見すると加入は必須に近い感じを受けます。
しかし、三大疾病特約が本当に必要なのかどうかはいくつかの観点から考える必要があります。
なぜなら、三大疾病特約はがん、心筋梗塞、脳卒中になったら必ず保険金が出るわけではないからです。
例えばがんの場合、がんと診断されれば保障の対象となりますが、全てのがんが対象というわけではなく、上皮内がんなどの皮膚がんは含まれていない場合が多いです。
急性心筋梗塞と脳卒中についても、診断されてから60日以上経過している場合や、麻痺などの就業が困難な状態が続いている場合、手術を受けた場合が保障の対象となります。
以上のように三大疾病を患ったことで確実に保障されるわけではないので、上乗せされる金利も踏まえて、万が一の場合に備えるのであれば加入するとよいでしょう。
八大疾病特約とは?
八大疾病特約とは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中に加えて高血圧性疾患、慢性腎不全、慢性膵炎、糖尿病、肝硬変と診断された場合にローンの残額が全額弁済される特約です。
三大疾病に加え、生活習慣病である五大疾病も対象となるため、三大疾病特約よりさらに広い範囲までカバーできる特約となっています。
ただし、八大疾病特約も三大疾病特約と同様に、ただこれらの病気になっただけでは保障の対象となりません。
三大疾病に関しては三大疾病特約と同様の条件を満たす必要があり、五大疾病に関してはさらに条件が厳しくなります。
具体的には、入院または就業できない状態が1年間続くとローンの残額が全額弁済されます。
また、就業できない状態になると12か月間ローンの返済が免除されます。
実際のところ、五大疾病によって就業できない状態が1年以上続くことはあまりないため、五大疾病によってローンの残額が全額弁済される可能性はかなり低いといえるでしょう。
しかし、それでも特約を付けておけば確実に安心感にはつながるため、少しでも将来のリスクを減らしたいのであれば特約を付けることをおすすめします。
中古住宅の購入での団体信用生命保険の注意点
団体信用生命保険は、住宅ローンを組む際に同時に加入する保険なので、団体信用生命保険だけに加入することはできません。
中古住宅の場合、住宅の価格次第では住宅ローンを組まず現金一括購入をする場合もあります。
その場合は住宅ローンを組む必要がないため、団体信用生命保険にも加入できません。
また、団体信用生命保険で保障されている対象は「死亡」と「高度障害」のみです。
その他の疾病については特約を付けることで対象となりますが、特約の対象でない疾病やケガで就業ができない状態になったり、ローンの支払い義務のある人が失踪してしまった場合などに関しては保障の対象外となってしまいます。
当然のことですが、審査の際に虚偽の報告をしていた場合も、万が一の場合に保障の対象とならなくなる場合があります。
団体信用生命保険に加入する際は絶対に嘘はつかず、審査に不利になる要素があったとしても、包み隠さず事実を伝えるようにしましょう。
まとめ
この記事では、団体信用生命保険について、詳しく紹介してきました。
もし団体信用生命保険について、さらに詳しいことを知りたい、またはプロの意見を聞きたいという場合は江古田プランニング株式会社にお問い合わせください。
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